はじめに|「マクロの記録」は便利だけど万能ではない!
Excel VBAを始めたばかりの方がまず触るのが「マクロの記録」。
ボタン一つで操作を記録して、自動化できる魔法のような機能ですよね。
しかし、便利な反面 「そのまま使うには危険」 な点も多く、
使い方を誤ると 動かない・メンテできない・バグの温床 に…。
今回は「なぜマクロの記録に頼りすぎてはいけないのか?」
そして「どんな場面なら活用すべきなのか?」を具体的に解説します。
マクロの記録を使わない方がいい理由【5選】
① 無駄なコードが大量に出力される
記録されたコードには、画面の選択やスクロール操作など
本来不要な命令が多く含まれ、コードが読みにくくなります。
Range("B2").Select Selection.Copy Sheets("Sheet2").Select Range("A1").Select ActiveSheet.Paste
→ 本来は1行で済む処理が、5行に…。非効率かつミスの元。
② セル位置が固定されてしまう
記録されたマクロは 「今選んだセル・シート・範囲」 に固定されます。
再利用がしづらく、応用が利かないマクロになりがちです。
③ 処理の意図が見えにくい
人間が書いたコードは「意味」を持たせられますが、
マクロの記録はとにかく動作を記録するだけ。
後から見たとき、何をしてるかが分かりづらく、メンテナンスが困難に。
④ 条件分岐や繰り返しが含まれない
マクロの記録では、If文やFor文などのロジック処理は書かれません。
複雑な処理には手動で書き換える必要があり、記録だけでは限界があります。
⑤ 他の人に渡すと動かない(環境依存)
「ActiveSheet」「Selection」などに依存するコードが多くなるため、
他のファイル・他のPCで動かないトラブルがよく起きます。
それでもマクロの記録が“使える”場面
とはいえ、完全に使わないのはもったいない!
以下のような場面ではむしろ記録機能が大きな助けになります。
✅ 1. 操作手順を“ざっくり確認”したいとき
例えば、「フィルターを設定して、コピーして、別シートに貼り付け」など
手順が複雑な処理をざっくり記録してみることで、
必要なメソッドやオブジェクトが分かるヒントになります。
✅ 2. VBAでの書き方が分からない処理を確認したいとき
「ページ設定」「ファイル保存」「罫線」「並べ替え」など
VBAで書きにくい操作も、記録すれば正確なコードが得られます。
✅ 3. 学習素材として活用する
「マクロの記録で出力されたコード」を元に、
冗長な部分を削ってリファクタリングする練習になります。
おすすめの活用方法:記録→修正のハイブリッド!
初心者のうちは「手書きで1から書く」のは難しいもの。
そこで次のような方法がオススメです。
- マクロの記録で処理の流れを取得
- 必要な部分だけ抜き出して整理
- 可変性(変数やループ)を加えて仕上げる
' 記録されたコード Range("B2:B10").Select Selection.Copy Sheets("Sheet2").Select Range("A1").Select ActiveSheet.Paste ' 改良したコード例 Worksheets("Sheet1").Range("B2:B10").Copy _ Destination:=Worksheets("Sheet2").Range("A1")
まとめ|“記録機能”は補助輪。いずれは自走を目指そう!
マクロ記録の使い方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
そのまま使う | すぐ動く/誰でもできる | 再利用・保守が難しい/不要コードが多い |
書き換えて使う | 書き方のヒントになる/応用が効く | 基礎知識が必要/手直しの時間がかかる |
マクロの記録は 「最初の一歩として最適」な反面、実務で使うなら“編集して整える”
…というスタンスがベストです。
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